卓越した技能、仏像・梵鐘づくりの第一人者

渡邉市郎

労働大臣賞受賞
労働大臣賞受賞・伝統工芸制作一筋に五十年

柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺 正岡子規
渡邉市郎

 日本人なら誰でも知っている名句。鐘の音と古寺、我々の心の琴線にふれ、郷愁をかきたてます。そして幾世紀にもわたり心を洗い清め、心の依りどころとなってきた御仏と鐘の音・・・・・・。
 伝統で鍛えぬかれた技を縦横に駆使し、魂の形、平和の響を求めこの道一筋に精励すること五十有余年を費やした名匠・渡邉市郎。
 その仏像は、名刹京都の仁和寺へ、日中友好のシンボルの梵鐘として、中国の吉林市へ納められている。
 山形の心、御仏の教えを製作の根幹に据え、東北地方はもとより、全国各地へ・・・
ひたすらによりよい響と平和を願って、今日も梵鐘づくり、仏像づくり、美術工芸品づくりに余念がない。
 永年の研鑽と功績を称え、労働大臣賞を受賞した現代の名匠・渡邉市郎は、日本伝統工芸の良心を手腕に運用する人である。

人 作品をつくり 作品人を語る

略歴
大正六年、九百年の伝統を誇る鋳物の町・山形市銅町に生まれる。
宝暦元年創業の老舗を継ぎ、八台目鋳匠となり、以来伝統工芸の道一筋に歩み続ける。

昭和二十三年、京都工芸繊維大学の青木一郎教授(理学博士)のもとで梵鐘の音響学を学ぶ。さらに長野垤志(人間国宝)、吉田久継(日展参事)両氏の薫陶を受け、梵鐘、仏像、美術工芸の鋳造研究を続けている。
昭和54年 京都仁和寺へ仏像納入
昭和55年 卓越技能功労賞・山形県知事賞
昭和56年 伝統工芸士認定。
昭和58年 日中友好のため、中国吉林市へ半鐘製作。山形市へ寄贈。
昭和59年 天童市技能功労者褒賞。
昭和60年 山形県伝統産業功労賞。通産局長賞。
昭和61年 労働大臣賞受賞。
平成2年  叙勲 勲六等単光旭日章 受賞
山形鋳物の伝統を守るために、山形工業技術訓練校美術工芸科専任講師として、後進の指導育成に砕心している。

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