トド肉を食ってみた

洋名はSea lion(シー・ライオン)なんだそうだ。海のライオン。

お盆に妻の実家を訪ねた際、「もらいもので悪いけど」と言いながら手渡された。「わたしらどうもこういう肉は苦手でね」と義兄。

でもsmoくんなら、喜ぶと思ってさ」

可愛い義弟をゲテモノ食いのように言わないでいただきたいが、正直トド肉は初めてなのでうれしい。

さっそく酒の肴に開封してみることにした。
しかし、大和煮ってのは、味が濃いしショウガが効いてるので、みんな同じ味になってしまう不安がある。

前々から思っていたのだが、大和煮で飯を食うのはチト甘すぎてつらい。だからといって酒の肴としても、さほど美味いものではない。大和煮は私の中では「困ったちゃん」的調理法なのだ。

果たしてトド肉は、大和煮の強烈なタックルをかわして私に肉の味を伝えてくれるのだろうか…
こちらはネッ友にいただいた「鯨焼肉」。焼き肉と表記はしてあるが、トド肉の缶詰と調味料(醤油・砂糖・香辛料)はほぼ同じ。

限りなく昔懐かしい「鯨の大和煮」に近い味付けであり、唯一欠けているのはショウガのみ。

今回は、この2つを同時に開けてみることにした。
これが「トド缶詰」の成分表。

内容量170gに対しトド肉は90gと半分強。かなり水増ししてある。

「原材料の一部に小麦、乳を含む」とあるが、小麦はトロミを出すためとしても乳とはなんぞや?

味をマイルドにするためか?
開封してみた。

左が鯨焼き肉。右がトド肉の大和煮。

ご覧の通り、トドの方がかなり色が濃い。というよりもドス黒い。

しかも、トド缶は汁の表面にギトギトの脂らしきものが浮いている。

匂いは両者とも非常に似通ってる。甘めの醤油の香りだ。
とりあえず毒消しのために、ロゼを1本用意した。

このワインは実兄の長女が通う高校で栽培したブドウを瓶詰めしたものである。
しっかりとブドウの味がして、なかなか美味い。

気になるのは、高校生たちは、味見をして出荷しているしているのだろうか。
未成年の飲酒はもちろんいけないが、自分の作った酒くらいは確認できるような校風であってほしいよな。
トド肉のビジュアルはご覧の通り。

鯨焼肉の缶詰と比較すると、一片の肉がかなり大きい。

鯨1:トド8
くらいの大きさがある。

白く見える部分は脂。かなり脂のエリアが広く、豚のバラ肉のような感じだ。


【食べてみた感想】

ビジュアル
トド肉。ビジュアル的には意外に美味そうに見える。
鯨の方は焼肉と名付けている割には、全体の感じが薄茶色であり、あまり焼いたものという感じがしない。しかしトド肉の方は全体に黒くテカっているために、缶詰から出すとまるで焼肉のような見た目であり、しかも脂と肉が混在しているために知らない人が見たら「おっ、カルビ肉じゃん」とヨダレが出そうな見た目になっている。


問題の味。
やはりかなりクセがある。大和煮にしてごまかしているが、口に入れた瞬間に石鹸を食ってしまったような味が鼻腔を駆け抜けるのには閉口した。
缶詰の製造工程でついた味かと思ったが、一緒に食べた鯨は臭わなかったので、やはりトドの肉のクセだろう。
ガマンできないほどの強烈なものではないが、10人中4人くらいは「げげげげ〜」と顔をしかめるものではある。

食感(肉)
肉本体は、思った通り大和煮の味がしみこんでいるために、ダイレクトな臭さはない。しかし、缶詰の宿命か、その食感はポソポソとしており、お世辞にも美味いとはいえない。これは、鯨でも同じ事が言える。すべからく缶詰の肉というのは脂も旨みも抜け落ちたヒネ鶏のようなものなのだ。

食感(脂)
一方脂はといえば、これは美味くも不味くもない。豚バラ肉のように脂と肉の部分がハッキリ分離しているので、脂の味はダイレクトに舌に感じられるのだが、トロトロの食感が舌に残るだけで、脂の味はまるで自覚できない。

それと
それと、この感想は間違っているのかもしれないが、どうもトド肉は缶詰の前工程で表面を少し焼いてあるのではなかろうかと推察する。日本人が本能的に好む「ショーユの焼いた香り」というのを、トドの匂い消しに使っているのではなかろうか(でも、これはsmokyの独断的推理です)。

結論

一言、ゲロマジイ。二度と食わん。

「北の国から」の最終回で、唐十郎扮する北海の漁師が、流氷を超えてトドを漁りにいったシーンがあった。田中邦衛扮する純くんのオトーサンに「トド肉を食わしてやる」という一途な思い。

皆が遭難かと案じた時、漁師はトドを捕って流氷を歩いてくる。

その後は、トド肉を丸焼きにした宴会だ。

とってもいいシーンだったが、やっぱり食いなれない田中邦衛は心の中で「うぇ〜、石鹸臭せえ!」と絶叫していたのだろうか。それとも、新鮮な生のトドは、缶詰と違って美味いものなのか。

倉本聰さんはそこまで調べて、トドを皆の衆に食わせたのだろうか――というか、あの人食ったことあるんですかね、生丸焼きトド



乞(←この漢字は名前に使えないんだそうだ)、自力生還。